小説『正体』染井為人著|あらすじ・ネタバレ・感想|モデルがあるかも解説

小説『正体』染井為人著|あらすじ・ネタバレ・感想のまとめ オーディブルの書評

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今回の記事は、染井為人さんの小説『正体』の書評・感想です。

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本書を一言で紹介するなら…

読みだしたら止まらない「社会派ミステリー」

以下に当てはまる人は、ぜひ読んでください。

  • スリリングな展開のある小説が好き
  • 物語から社会問題について考えたい

本書は、Amazonの聴く読書「Audible(オーディブル)」の聴き放題対象本です。

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小説『正体』の書籍情報

小説『正体』の書籍情報
罪もない一家を惨殺した死刑囚はなぜ脱獄したのか!?

埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した!
東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は? その逃避行の日々とは?

・著者:染井 為人
・再生時間:20 時間 3 分
・ナレーター:渡辺 紘

ほしくん
ほしくん

あらすじ・ネタバレを解説していきます!

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小説『正体』のあらすじ

小説『正体』のあらすじ

「埼玉県の民家で、家族3人が殺された」

極悪非道な事件の犯人として逮捕・収監されていた男が、神戸拘置所から脱獄したというニュースが日本中を駆けめぐる。

彼は一体、今どこにいるのか。

警察が血眼になって探すなか、囚人・鏑木慶一かぶらぎ けいいちは追手を逃れ、日本国内を逃走。

しかし殺人犯であるはずの男は、その道中で多くの人を救っていく

野々村和也、安藤沙耶香、渡辺淳二、近野節枝。

4人との物語を通じて浮かび上がる素顔、そして逃走している真の理由とは…?

ほしくん
ほしくん

社会派のミステリー小説です!

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小説『正体』の感想(ネタバレなし)

小説『正体』の感想(ネタバレなし)

小説『正体』を読んで良かったと感じたポイント3つを、ネタバレなしで紹介します。

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息をつかせぬ臨場感

全体を通して「先を読ませる筆致」が素晴らしいです。

過去から未来への遡りながら、少しずつ事件の真相に迫っていくドキドキ感がたまりません。

特に好きだったのが、鏑木が30代OLと親しい男女の関係になる第3章。

  • 2人の関係が深まり、ゆっくりとした日常が描かれる前半
  • 警察から捜査の手が忍び寄り、危機一髪の状況に陥る後半
ほしくん
ほしくん

落差が大きくスリリングで、特に印象的な話でした。

これ以外の話もそれぞれ起承転結がはっきりしており、起伏があるので、中だるみすることなく夢中になって読める1冊です。

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同一人物とは思えない七変化

本書では、鏑木慶一という男が脱獄してから約500日間の逃走劇が描かれますが、その変貌っぷりが、とにかくえげつない

人と接するときの「押し引き」が上手で、引き出しが多いんです。

たとえば第3章では、女たらし感が全開。

  • じゃあ、我々は本当に似た者同士ですね
  • ぼくは人の話を聞くのが好きなんです

女性が好きそうな言葉を、サラッと言いますよね(モテ男感がスゴい)。

でも普段は身バレを防ぐため、単独行動する根暗な逃亡犯。しかも元をたどれば、脱獄できるほど地頭の良い「知能犯」でもあります。

気になる人
気になる人

場面ごとに少しずつ、別の顔を見せるのよね。

そんな鏑木慶一の「不思議な魅力」に惹かれ続けましたし、だからこそ500日近く逃げ切れたのだと思いました。

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明確なテーマ性がある

単なる逃走劇を描いているだけでなく、ある社会問題に対して痛烈に問題提起しているところが良いですね。

筆者も「あとがき」で書いているように、この問題に苦しんでいる人は少なからず存在しているのではないかと思うから。

ネタバレ防止のために詳しくは書きませんが、決して他人事ではありません。いつか自分に降りかかるかもしれない…そう考えると怖くなります。

小説として面白いのはもちろんですが、物語のなかに一本の筋がしっかりと走っているのが好みでした。

ほしくん
ほしくん

これが「社会派」ミステリーと説明した理由です。

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小説『正体』のネタバレ解説

小説『正体』のネタバレ解説

ここからは『正体』のネタバレ解説です。

ネタバレを見たくない方は、以下のボタンをタップ!

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犯人はどのように逃げたのか

鏑木慶一の約500日にも及ぶ逃避行は、実に壮絶です。

本書では各章で話が前後しますが、時系列順に並び替えると以下のとおり。

●日後第●章場所職業など名前逃走理由
0日後プロローグ兵庫県
(神戸市)
神戸拘置所の受刑者鏑木慶一自らの冤罪を立証するため
33日後第2章東京都
(江東区)
建設現場の土木作業員遠藤雄一同僚がテレビを見て気づく
117日後第3章東京都
(世田谷区)
在宅ライター那須隆士同居人の不倫相手が通報
283日後第4章長野県
(菅平高原)
雪山山荘の住み込みバイト袴田勲窃盗事件の取り調べで警察が来ると察知
???福岡県??????(この間に顔を整形)
365日後第5章山形県お菓子会社のパート久間道慧交通事故の現場に来る警察から逃れるため
455〜488日後第1,6章茨城県老人ホームのヘルパー桜井翔司その場で射殺(逃走終了)

その距離、なんと3,000km超え(Google Map調べ)。

鏑木慶一の逃走ルート・移動距離

また自分の顔を整形しており、表情も整形前後で様変わり。

収監中

坊主頭の若者が口を真一文字に結んで写っていた。くっきりとした二重まぶたで、鼻筋が綺麗に通っている。

【出典】『正体』染井為人 P.11
脱獄から455日後

黒い前髪が切れ長の一重まぶたの目に少しかかっていて、右目の下に特徴的な大きな涙黒子があった。鼻がくの字に折れ曲がっており、下唇がややめくれ上がっている。

【出典】『正体』染井為人 P.17

まさに執念。「ド」が付くほどの執念です。

気になる人
気になる人

でも、どうしてここまで必死だったの?単なる脱獄犯…?

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犯人が逃げている理由

結論、「自分の無実(冤罪)を証明するため」です。

鏑木慶一が殺人犯の罪を被せられたのは、以下の流れでした。

  • たまたま通りかかった家で、女性の叫び声を耳にする
  • 被害者を助けるため、犯人が使用したナイフを触ってしまった
  • 警察が踏み込み、あえなく御用(真犯人は逃走)
  • 唯一助かった被害者の家族が目撃していたが、認知症で記憶があいまい
  • 鏑木慶一が犯人ということに

本人からすれば、いわれもない濡れ衣を着せられた格好。

「それでもボクはやってない…!」

そこで彼は殺人現場で助かった井尾由子(被害者の家族)に出会い、自らが殺人犯でないことを証明してもらおうとします。

しかし最後は…

身を隠していた老人ホームに踏み込んできた警察によって、射殺されてしまいました。

ほしくん
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なんという悲劇…

じつは鏑木少年は、困っている人を放っておけない心のやさしい男です。

  • 労働分野の法律知識を武器に、同僚の示談金を勝ち取る(第2章)
  • 雪山で遭難した仲間を助けるため、真っ先に警察に救助を要請(第4章)
  • 交通事故に遭ってしまった同乗者をすぐに助ける(第5章)

どこから見ても善人の彼が、どうしてこんな目に遭わなければならないのか。

その無念さを思うと、やりきれない気持ちで胸がいっぱいになりました。

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ラストに分かる悲しい真実

最終盤では、さらに悲しい事実が明らかになります。

それは「警察のミスを隠すため、犯人に仕立て上げられたのではないか」という疑惑。

じつは事件の真犯人は「足利清人」という別の男。

警察は足利を見逃してしまい、別の場所で同様の事件が起きてしまった後、その事実に気づきます。

このままでは、警察の沽券こけんに関わる。

気になる人
気になる人

で、どうしたの?

「別の犯人を仕立てあげれば、事態も沈静化するのではないか」

巨大組織のなかで、こんな黒い思惑がうごめいていたとしても不思議ではありません。

そして犠牲となったのが、鏑木慶一。

組織の名誉を守るために、1人の尊い命が奪われてしまったわけです。

あまりに理不尽すぎる結末。しばらく言葉を失いました。

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小説『正体』は実話?モデルはある?

小説『正体』は実話?モデルはある?

結論、小説『正体』で描かれる事件にモデルはなく、完全なるフィクションです。

本人へのインタビューにおいて、「もとになるお話があったのか?」という質問に対し、ニュースや人の体験談をベースにしたと述べられています。

書くきっかけになったのは、未成年でも死刑になることがあると知ったことでした。さらに世の中には冤罪(えんざい)事件が実はたくさんあり、罪を犯していないのに犯人にされてしまう人もいる。そのような理不尽さを小説で訴えたかったんです。イメージを膨らませるきっかけになったのは、警察署から逃走して自転車で日本一周を目指した容疑者でした

【出典】フムフムニュース

また本書の最後には「この物語はフィクションです。」の一言があることからも、実話ではなく作り話だと考えて良さそうです。

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『正体』小説と映画の違い

『正体』小説と映画の違い

2024年11月29日、原作である小説『正体』が映画化されたので、劇場で観てきました。

結論、鏑木慶一の逃走劇を描くストーリーに変更はありませんが、以下の3点の違いがあります。

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場所・日数・登場人物

映画では、以下の2つが割愛または大幅に短縮されていました。

  • 第4章(雪山の話):なし
  • 第5章(製菓工場の話):短縮

映画版では時間上の制約があるため、1つ1つのストーリーを濃くするためと推測されます。

これに伴い、日数も原作通りではなく、少しずつ変更されていました。

ほしくん
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密度が濃くなっていて、集中して観れました!

また原作がコロナ前に執筆されたため、初めに鏑木(ベンゾー)が働く建設現場の場所も、以下のとおり変更。

  • 小説:東京オリンピックの建設現場
  • 映画:大阪万博の建設現場

上記以外にも老人ホームが茨城県ではなく長野県であるなど、マイナーチェンジがありました。

気になる人
気になる人

登場人物は同じなの?

大きな変更があったのは、沙耶香の父親が登場するところ。

じつは彼は痴漢の冤罪に苦しんでおり、娘と一緒に戦っています。

だれにも信じてもらえない辛さを知っている沙耶香だからこそ、無実である鏑木に思いを寄せ、心を通わせられる。

新しい設定のおかげで原作以上に感情移入しやすくなっており、良い変更だと思いました。

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事件を追う又貫の存在

小説では第3章のみに登場する又貫刑事が、ストーリー全体を通して鏑木を追うというストーリーになっています。

ほしくん
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主演は山田孝之さん。好演でした!

小説では鏑木の逃走劇が淡々と描写されていましたが、映画では「獲物」である鏑木を探す警察側の視点が入っているため、よりスリリングな展開に。

逃げる鏑木、追う又貫。

特に両者が沙耶香の家で対峙し、睨み合うシーンは呼吸が止まりかけました…!

サスペンス感が増しており、神演出でした!

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感動的な結末

小説では鏑木慶一が亡くなるというバッドエンドでしたが、劇場版では警察側に撃たれるものの助かります。

ラストでは、逃亡中に別れの挨拶もなく離れ離れになってしまった和也、沙耶香、舞と接見し、それぞれ言葉を交わす一幕が。

ほしくん
ほしくん

このシーンとセリフに、グッ…と来ました!

また真犯人を取り逃がした警察側の責任についても、又貫が「自らのミスであった」と認める結末になりました。

気になる人
気になる人

原作では鏑木少年に罪を着せる形だったから、真逆だね。

又貫も自らの過ちに気づきながら、組織人として職務を全うしなければならない葛藤があったはず。

その気持ちと向き合いながら、最終的には自らの正義を貫いた姿がかっこよかったですね。

以上3点が、小説版・映画版の大きな違いです。

映画版は中だるみすることもなく、最後まで息の抜けないスリリングな展開で、ラストは自然と涙があふれました。

他にも細かい違いがあり、小説版との違いを探しながら観ると楽しいので、Audibleオーディブルの無料体験で原作にも触れてみてくださいね。

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小説『正体』の耳読レビュー

小説『正体』の耳読レビュー

今回紹介した『正体』は、Audible(オーディブル)の配信があります。

実際に聞いた5つ星レビューはこちら。

項目評価コメント
おもしろさ5.0ハラハラ・ドキドキの展開、衝撃の結末に大満足!
聴きやすさ4.0時系列が、ほぼ前から後ろの順番通り
ナレーター4.01人の朗読と感じさせない声の使い分け
目次5.0しっかりあり
Audibleで聴いてよかったポイント!
  • 時系列が大きく変わらない
  • 登場人物もそこまで多くない
  • 何よりストーリーが素晴らしい

「聴く読書」は内容に飽きてしまうと続きませんが、本作は心配なし。

ほしくん
ほしくん

時間を忘れて夢中で聴けます。

先に目次で時系列だけ把握しておけば、混乱することなく、物語の世界にどっぷりと浸かれちゃいますよ。

5分のサンプルは無料で聴けますので、以下のリンクからチェックしてください。

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小説『正体』のまとめ

小説『正体』のまとめ

まとめは、ネタバレなしで書きます。ご安心を。

小説『正体』を読んで感じた推しポイントは、以下の3つです。

  • とにかく先が気になる展開
  • 各話とも起承転結があり、飽きない
  • 社会への問題提起が鋭い
ほしくん
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電車を乗り過ごしそうになるくらい夢中になりました。

ミステリー・社会派テイストが好きな方、ハラハラ・ドキドキする小説が好きな方にはピッタリ。

気になる方は、ぜひAudibleオーディブル無料体験を使って聴いてみてくださいね。

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正体』以外のおすすめ小説が気になる方は、以下の記事も参考にぜひ。